顧問先の売上の公式を知っていますか?
2016/03/28
何故、経営者とまともに話ができないのか
経営者と面談ができない職員さんが多いようですが、
それは、会計事務所の陥りやすい罠にはまっているからです。
私が経営者と面談した時に一番聞く声は
「会計事務所は毎回、経費削減の話ばかりする」です。
そう、赤字の会社でも、確かにあなたが真剣に顧問先のことを考えて
コスト削減の話をしているのはわかるけれども経営者は聞く耳を持たなくなってきます。
そして、あなたはこう嘆くのです。
「あそこの社長は話を全然聞いてくれないと・・・。」
特に奥さんが経理を担当している会社など、経費の話を社長にしてくれることを奥さんは、非常に喜んでくれますが、経営者は売上の話に対しては積極的ですが、経費の話は嫌がります。
それは、会計事務所から責められているようで苦痛でしかないからです。
この罠にはまってしまうと「経理と話して」と経営者はだんだんとあなたを避けるようになるでしょう。
だから、経営者と意味ある会話をしたければ、まず売上戦略について面談をすべきです。
もう、「売上は社長が考えるものだから」と避けるはやめましょう。
業績公式をしれば経営者の方から面談をお願いされる。
あなたは顧問先の売上の公式を知っていますか?
これは税理士事務所だからこそできる売上について社長と一緒に考えるために必要な公式です。
例えば、小売業を営む顧問先の社長から
「売上を上げるにはどうすればいいですか?」
こんな質問をされたとき先生ならどうお答えになりますか?
「商品の数を増やしてみてはどうですか」
「商品の配置を変えてみてはどうですか」
「広告を出してみてはどうですか」
等々、方法はいろいろありますが、これでは社長と意味のある面談や会議はできません。
何故なら、これらは「結果に対するアプローチ」でしかないからです。
こんなことを言っていると
「先生、言っていることはわかるけど、その方法が知りたいんだよ」
「それは社長が考えることですから」
と先ほどやめようと言った会話に戻ることになります。
これでは顧問料を下げられる会話でしかありません。
では、どうすればいいのか、
顧問先には、業種・部門に関係なく、その社長独自の「業績の公式」があるはずです。
「売上・利益」と言う最終結果は、全てのプロセスの結果でしかありません。
正しいプロセスを実行しなければ成果は出ないことを多くの経営者は知っています。
私達は、そのプロセスを公式化して、「売上の公式」や「業績の公式」と読んでいます。
売上戦略の面談をする上で重要なので、しっかり覚えておきたい公式です。
先ほどの小売業の売上の公式は?
売上=顧客単価×客数
顧客単価=商品別販売個数×単価
客数=来店者数×買上げ率
来店者数=チラシ枚数+ポストイン枚数+DM発送数+メルマガ会員数
などとなります。
このように小売業に限らず、どの業界、会社によって業績を上げる公式があります。
この業績公式を分解し、必要な行動を指標化し、この公式に従って行動をすれば自ずと結果が出るのです。
先ほどの「売上をあげればどうすればいい?」の質問に対しても売上の公式が分かると答え方も変わるのではないでしょうか
「広告を出してみてはというのではなく、今配っているチラシ枚数のリピート率はどの程度ですか?」
「メルマガ会員数は今どのくらいいらっしゃるのですか」
「メルマガ会員を増やすためにどのようなことをしますか」
等々
このような会話で課題を掘り下げていくと、現状で阻害要因となっている課題が浮き彫りになり、必然的に業務改善も取り組むことができます。
次の監査時に社長に「わが社の売上公式を整理して見ましょう」と言えば、経営者自身も何がしかの発見があるのです。
では、もう一例、税理士事務所の売上アップするための公式はどうでしょうか?
売上アップ=有効顧問先数×面談数×面談決定率
有効顧問先数=新規開拓件数+既存のB客以上数
面談数=訪問回数×有効面談率×提案商材情報
新規開拓件数=ターゲット(見込み客)×決定権者面談率×見積依頼率
提案商材情報=相続商材+保険商品+会議指導+有料セミナー+新システム
こんな感じでしょうか?
もし、「面談数」が少ないとなれば、 それは「訪問回数が少ない」 「有効面談率が少ない」 「提案商材情報数が少ない」 のいずれかになると仮説を立てられます。
そして、
その仮説にそって、問題点を整理すれば「面談数」が少ないのは提案商材が少ないからなど、何をすればいいのかという課題が浮き彫りになります。
こういう手法は、「売上不振」と言う全体像だけで問題を議論するのではなく、それぞれの業績やプロセスを決定する要素別に具体策を整理する事で、「問題点の具体化」・「見える化」を誘発させているのです。
課題解決の公式とは
売上公式だけでも有効な経営者面談ができますが、経営会議をしたければ、現場の問題解決についてもこの公式は使えます。
前述で「問題点の具体化」「見える化」した部門業績に影響を与える行動や阻害要因を導き出し、プロセスを指標化することでスタッフに状況を説明するのに役立ち、今やっていることが、どの数値改善に繋がるのか、理屈が分かり、経営会議にはとても有効です。
例えば、問題点を掘り下げていくと
- 建設現場の利益率を上げるためには
・現場管理でのロスを防ぐ公式
・外注費を適正化する公式
・現場経費を適正化する公式
・クレーム、手直しを下げる公式 等々 - 工場の稼働率を上げるためには
・内製化を増やす公式
・積算精度を上げる公式
・ロスやムダを減らす公式 等々
まずは、あなたの顧問先で業績公式を聞くことから始めてみましょう。
あなたが思っていなかったような経営者の売上公式が聞けるかもしれません。
どんな業種でも、どの課題でも、必ず「業績の公式」がある事を意識すると、顧問先への経営提案も楽しくなっていくと思います。
そして、経営会議でそれぞれの課題をどこまでやっているか進捗管理すれば、社長の方から早く会議しようよと言われることになるでしょう。