役員の役割の見える化
2017/01/16
役割分担が曖昧で招く不信感
経営者面談等を実施した時に経営者から
「○○専務、○○さんがこれをしてくれればいいのに・・・」
と愚痴を聞いた経験があるのではないでしょうか。
でも当の○○専務や○○さんはあまり意識してないかも知れません。
これはどうして起こるか?と言うと、
特に中小零細企業での経営者や幹部との間では、成長期だった時代は日々の業務追われ、あれもこれもと社長が関わり過ぎ
明確な役割認識がなされていなかったことが原因のひとつです。
だから、経営者が、「何回も口が酸っぱくなるほど、指示しているのに、やらない」と嘆き言われても、
明確且つ具体的な役割分担や職務責任表のような文書を提示した上で、説明されない限り、動かない幹部は多いものです。
とかく成長期から成熟期にはいった中小零細企業での経営者や幹部との役割分担は曖昧になりがちです。
もし、「幹部が幹部としての仕事をしてくれない」と問題意識を持っている経営者に対して、
そんな時、皆さんはどんな提案をするのでしょうか。
どの企業でも共通する課題については、自分なりに解をもって、お話しすべきでしょうが、
今回のテーマのような場合は、フォームを持つことです。
かと言っても、本に書いているような「職務分掌規程」のような形式は、中小企業ではなかなか受け入れられません。
だから、どこでもいいので1社フォーム事例を作ってほしいのですが、やり方はこのようにします。
「幹部毎の業務責任・役割分担表」の作成手順
☑『経営幹部としての基本役割責任』の整理
経営幹部として
どの分野の統括責任なのか?
また統括責任とはどんな責任を取ることか?
を抽象論にならないように現状行っている業務を洗い出し整理します。
中には幹部としての仕事はせず、作業業務ばかりしている幹部もいます。
☑『行動責任(自ら直接結果を出す行動)』の整理
管理責任と言う曖昧な表現ではなく、経営幹部が直接行動することで、経営幹部が行動しなければ成果が出ないような項目のことです。
幹部の中には、「現場のフォロー」が中心的な業務になって、なんとなく仕事をしているような「なんにもセン務」も見受けます。
しかし、職務権限と経験にある幹部こそ現場が円滑に回る仕組みや行動結果を残すための「仕事」をしなければならないのです。
☑『トップ及び役員、経営幹部とのコミュニケーション』の整理
幹部でどういう情報公開を共有するのか、すべきなのかを整理し、必要なコミュニケーション手段や方法、指示を明確にします。
組織は上になればなるほど、「報告連絡相談」が疎かになりがちです。
幹部の「報連相不足」がそのままでは、社員からの不信感の助長になり、顧客へのタイムリーな判断の遅延に繋がります。
☑『自ら行なわず、部下に委譲すべき業務(誰に何を、任せるか)』の整理。
これは、先ほどの『行動責任(自ら直接結果を出す行動)』の整理とは逆に、
「何でもかんでも、自分でやってしまい、部下育成ができない幹部」に対して有効な項目です。
「なかなか人に任せられないケース」
「部下への指示命令やコミュニケーション能力に問題があるケース」
「何でも自分でやってしまうことで、さらに自分の首を絞めていくケース」
など、経営幹部の人材育成能力に問題があることになります。
ここでは、具体的に「誰に、何を、どのように任せ、どう報告やチェックするか」を決めます。決めたら「任せる部下を呼び、これを見せながら説明」し、部下にも了承させます。
「幹部毎の業務責任・役割分担表」は、これら4つの要素で作成すると効果が期待できますが、
この作成方法については、以下の点に注意して進めることをお勧めします。
1.フォームだけ決めて、該当する経営幹部に書かせるだけでは成果は出ません。
書かせたことを再度、経営者と協議しながら、経営者の意向も考慮に入れつつ、作成します。
2.作成する段階では、全員が一緒に見ながら検討できるように、
税理士事務所職員が司会をし、プロジェクターなどに投影しながら、その場でパソコンに入力していいきます。
第三者が加わることで、一緒に作成してあげれば大変喜ばれるはずです。
もし、経営者の口からこのような愚痴を聞いたなら、そのタイミングがチャンスです。一度、提案してみてはいかがでしょうか。