後継者のための数字で考える習慣
目標を決めても実行されない後継者の特徴
毎年、事業計画や経営計画書などで、目標を決めたはずなのに、いつの間にか、なんとなく「ああしたい、こうしたい」「できたらいいなあ」と言う意識レベルだけとなり、目標・期限・対策も決めたのに実行されない。
そんな傾向がある人は、やるべきことをたくさん上げても、何を重点的に行動すれば、何が達成できるかを詳細ごとに、数字で決めていないことにより、どれも中途半端になっているのです。
日々の業務に追われ、気持ちだけは「なんとかしなければ」と、心だけ焦っている。しかし、結局、頭の中だけで終わっていて、行動内容を詳細に決めていないため、やる気や精神論を優先しがちになっているのです。
そして、いろいろ決めてもできない自分を、昔からそういう性格だから、どうせ、私なんてこんなものだと、目標達成できる人とは、自分は違うと達成できないのは自分の性格だと諦めているのです。
これは後継者に多い特徴なのですが、これから会社を担っていくためにも、ちゃんとPDCAを回せるようにしてあげることが企業の永続的発展のためにも、とても重要になります。
ではどうすれば目標で決めたことが実行できるようになるのか、そのポイントをご紹介したいと思います。
目標達成のプロセス(過程)の詳細目標を決める
目標の概念ばかり意識している人は、その目標を達成する為のプロセスや段階別の目標がないなど、最終的な目標数値を達成するまでの重点行動などの数値目標を決める。
目標達成度の進捗状況と目標差異を意識する
目標に対して、今どういう進捗状況かを数字で見て、目標と差がどのくらいあるのか分かるようにする。そのための会議やチェック日を決める。
目標を意識する為に「見える化」をする
目標を目に入る場所に掲示する。目標と結果の達成度が分かるように数値化すること。そして、気づきや改善点を書き加える。
この3つがとても重要となりますので、分かりやすい事例「ダイエット」で解説していきます。
個人目標が達成されない理由(ダイエット編)
目標が漠然としている
単にダイエットしたいというだけで、強い動機づけがない。
10キロ痩せたいと言っても、いつまでに、何㎏減量か不明で、その期限を絶対順守しなければならない理由も曖昧。
もし痩せないと、半年後に死ぬと言われたら誰でも頑張るはず。
行動内容を決めず精神論
行動内容よりも、とにかく痩せたい、とにかく見た目をよくしたい、とにかく健康になりたいという気持ちだけが先行し、炭水化物を抜こうなどの単純な計画だけ。
達成できないのは「性格」のせい
過去もダイエットに何回も挑戦したが、挫折経験が多く、自分は意思が弱いから、続かないと諦めている。
このような人は、どうすればいいのか
第一には動機を明確にする。
「おしゃれしたい!」「モテたい!」という動機でも構いませんが、もう少しイメージしやすいように「○○の服をきたい!」や「50代も健康であるために中性脂肪を落としたい!」など具体的に落とし込んで、その目標が達成できた時の自分をイメージできるくらいで、紙に書くと、その決意も固いものとなります。
目標の公式を作る。
いきなり10キロはハードルが高いと思うのなら、まずは5キロ減量をする為に対策を詳細化する。
ダイエットする場合の公式は【食事】+【運動】=5キロダイエット
となるが、これを詳細項目で考えると
【食事】+【カロリー制限】+【運動】+【筋力アップ】=5キロダイエット
1.食事…野菜から食べる。野菜サラダを食べてから、おかずとごはん
2.カロリー制限…食生活を見直し、小麦粉を週1日抜くとか、ごはんは茶碗半分にすると115カロリー減など。
3.運動…週に3回、19時から60分の散歩・ジョギングするだけでなく、「普通に歩く」で1分間約2.7カロリー、「大股で早歩き」で1分間約 2カロリーで60分252カロリー減など数値化する。
4.筋力アップ・・・毎日スクワットを30回で基礎代謝30kcal/day
目標との中間状況を意識する
3か月後に5キロ痩せようと思っても、体脂肪を1キロ減らすためにはどのくらいのカロリーを消費しないといけないかというと、脂肪1gを減らすのに7kcal必要と言われるので1キロ落とすには7000kcalのカロリー削減が必要なのです。
摂取したカロリーよりも消費したカロリーの方が7000kcal多くなければ1キロ痩せないということです。
そう考えると3か月で5キロは気が遠くなりますし、現実的に可能か不可能かを考えなければなりません。
先ほどの目標の公式で計算してみると、
【食事制限115kcal】+【運動252kcal】+【筋力アップ30kcal】
=397kcal/day÷7kcal=1日当たり56g減。30日で計算すると1680gとなるのです。
1か月目・・・1.6キロ減
2か月目・・・1.6キロ減
3か月目・・・1.6キロ減
と考えれば「3か月後」に5キロ減はできないことがわかります。
そう、計画通りダイエットを頑張っても3か月では目標達成できないのです。
これは数値化することにより明確にわかることです。
だから、3か月後に目標達成するためには、これ以外に何か無理をしなければなりません。無理をするとどこかで反動が来るかリスクも増えます。
だったら4か月後に5キロとすれば、十分目標達成できることも分かると思います。
最後に目標の「見える化」をする
1.減量目標を部屋に掲示する
2.体重計には毎日乗り、体重変化をメモする
3.スマホアプリなどで状況管理をする。 グラフ化すると視覚効果をさらに上げる
まとめ
この事例のように全てを数値で判断できるようにすれば、現実的に物事を捉えることができるようになり、達成意欲も上がるのです。
この事例の場合、たった1か月の目標達成の時期を変えるだけで、本人の行動意欲も何より目標達成率は大きく上がったのです。
まずは無理のないところで、小さな成功体験を数こなすことで自信をつけることが後継者にも必要なのではないでしょうか。
自信は成功を勝ち取るうえで強力な武器となります。
でも、自信がないからといって成功できないということはないのですが、ただ、あるかないかでいったら、あった方がいいのは確かだと思います。
なぜなら、その自信が何かにチャレンジする上で恐怖を跳ね除け、躍進するエネルギーになるからです。
「自信=小さな成功体験の数」
これしかないと思います。
小さくてもいいので、成功体験を1歩1歩、着実に歩むことが後継者の未来の希望へとつながりますので、数字で考える習慣を身につけましょう。