会議ファシリテーション
会議、ミーティングの実態
ドラッカーは「会議は、懇親の場ではなく仕事の場としなければならない。
会議の生産性を上げるには、事前に目的を明らかにしておかなければならない。
目的が違えば、準備も成果も違うはずである」と言ってます。
この会議生産性を上げるために行われている会議等は全体業務に占める割合は15%と言われます。
そして、さまざまなメンバーと一緒に仕事を進めていく上で、欠かせないのも「会議」ですが、
しかし、段取りが悪い会議や、集まること自体が目的となってしまっている会議では無駄な時間でしかありません。
このため「無駄な会議等が多い」「会議等の時間が長い」「会議等の頻度が多い」の問題・課題が上位を占めており、
会議等が、会社の価値創造(仕事の生産性向上、イノベーションの創出等)に貢献している」と回答した割合は、3割強程度に留まっているそうです。
会議の内容も「定例会議」や「進捗、課題等の確認会議」の実施割合がいずれも4割弱である一方、
「新規アイデアの創出」に資する会議の割合は1割強に留まっているようで、
このようなデータからも効率の悪い会議は、参加者全員の時間やコストを無駄にしてしまうことになってしまいます。
会議生産性への取組み
ある会社で「会議ファシリテータースキルアップ研修」というものを実施しました。
「ファシリテーター」とは、会議の推進者という役割ではなく、
「合意形成」を促す推進者と言うことなのですが、
「会議生産性」が求められている現代で、旧態依然に「会議等」の問題の一つが
司会進行をその会議参加者内のトップが行うことなのです。
トップが行うことで、
- 参加者(部下)は発言しない
- 参加者(部下)は納得していない(快い了承が得られない)
- トップダウンで決めてもメンバーが行動できない
- 会議が終わった後、参加者が不満や愚痴をあちらこちらでつぶやいている
- 会議終了後、参加者には笑顔や納得感がない
などなど報告連絡会議ならこれでもいいでしょうが、
しかし、会議生産性を向上させるためには、いわゆるアイデアを生むためには、
このようなトップダウン会議よりも「会議ファシリテーター」により
参加者が中心となって行う会議が求められていると思い、取り組んでみたのです。
会議ファシリテーター研修で幹部が一番納得したもの
会議ファシリテーターの知識や技術だけ教えるなら講義だけでも良かったんですが、
それでは実践につながらないと思い、この研修では、「段階的ロールプレイング」を実施し、
参加者に体感してもらいました。
まずは日ごろの会議について参加者がどう感じているかを振り返ってもらい、
第1段階のロープレ
「議論する前にまず、意見を書き出す」と言う作業を会議前に追加してから、会議ロープレに入る。
第2段階のロープレ
第1段階にプラスして「司会者はホワイトボードを使い」、ホワイトボードに参加者の視線を釘付けし、議論する会議ロープレでした。
第3段階のロープレ
「ホワイトボードに会議テーマ、時間、方向性を事前に書き出し」、その上で司会者がホワイトボードに書き込むのではなく、発言者本人がホワイトボードに書きながら意見を言ってもらう会議ロープレです。
このように段階的なロープレを研修に取り入れたことで、参加者はファシリテーション技術の一つ一つを理解したようです。
会議前のウォーミングアップ
普段の会議でもそうですが、会議が始まって、上司が議題について講釈を言った後、
「意見はないか」と聞かれても、参加者から積極的な意見はなかなか出ないと思います。
この原因の一つは、会議に対する心と頭のウォーミングアップが不十分なためです。
そこで、第3段階のロープレではこのようなことを会議前に行いました。
それは「会議前に、最近の良かったこと1分間コメント」を全員に発表してもらう。
時間はきっちりスマホのストップウォッチで1分計測し、時間になったら途中でもおわる。
このウォーミングアップをすると、ほとんどの班で笑顔と笑いがあり、
リラックスした状態で会議にスムーズに入る事ができ、会議では意見も出るし、
心と頭の準備ができたことによりアイデアも沸くのです。
この会議冒頭のウォーミングアップは、会議ファシリテーションの会議のみならず、
普段の会議前にも入れて、笑いがある会議を目指すべきですね。
実際、この研修でも「1分間の良かったこと」を言った事で、
意見が言いやすくなった、リラックスして会議に望めたなどという声が多く聞かれました。
ただ、このような会議をすると楽しすぎて時間を忘れる傾向がありますので、
時間をきちんと計測して会議をし、参加メンバーに時間を意識させることで、
議題に集中するようになります。
大きなタイマーをプロジェクターに映すなど会議時間の延長防止にも努めましょう。
会議ファシリテーション技術は、日本の会議を変える
私自身、多くの会議に出席、指導する中で、今回の研修を通じて、この「ファシリテーション技術を使った会議」を取入れれば、
人材育成も進み、企業風土も変わると思いました。
なぜなら、「会議ファシリテーション技術」とは、「参加者の自発性」を出す会議だからです。
最近では、ボトムアップを標榜している企業も多いですが、実際はトップダウンなのが現実です。
特に人口減や業種によっては既に働き手が不足している日本で、
仕事の生産性向上、イノベーションの創出等、従業員のパフォーマンスを上げるには、「会議を変える」のが一番です。
そんな会議を変えるためには、自由に発言し、笑いのある「ファシリテーション技術を使った会議」が必要なのではないでしょうか。