問題解決より大事な仕事
2017/01/16
解決の糸口がない相談
顧問先からは、税務以外にも顧問先で起こる課題や問題について相談されることも少なくないと思います。
特に、業績が厳しくなると、顧問先では内部問題だけでなく、外部問題も複雑に絡んだ問題が噴出してきます。
それは、決して景気のせいだけではなく、恐らくは業績悪化が始まる前からあった問題が景気状況の変化をきっかけに顕在化したに過ぎないのです。
そして、その問題に対する具体策がなかなか打てず、遅疑逡巡しているのも、、、
決断できない理由がある
「あれだけ言っているのに、あの社長は行動しないよな」そんな風にあなたは思っていないだろうか、
しかし、
これは経営者が優柔不断だからと言う理由だけでは片付けられません。
例えば、ある赤字部門から撤退したいと思っていても、その部門を始めた経緯、雇用、外注、金融機関からの信用や撤退後のコスト等、いろいろ考えると、「赤字=撤退縮小」と即決断できないこともあります。
大企業でさえ、「赤字部門から撤退するのに、その部門を始めたときの社長が引退した後、こっそり撤退する」など、いろいろな配慮があるようです。
では、そんな経営者が問題解決の糸口をつかめないでいる・・・
アドバイスでは信頼を得られない
「税理士事務所の職員は、全然、親身なってくれない」
あなたは驚かれたかもしれない。
そう、私の知る限りでも、税理士事務所の職員は経営者の相談を親身になって聞いていると思います。
しかし、
ただ、聞いているだけ・・・
いや、ちゃんと提案もしているし、どうなったか監査の度に確認しています。
というかもしれませんが、ここに税理士事務所の悪い癖があります。
それは、社長から聞いた話の内容だけで解決のためのアドバイスをしている。
そのため問題把握が浅く、フォローも足りないので親身になっていると思われない。
「問題解決」のための正しい行動。
そう、経営者が望んでいるのはアドバイスではなく、問題解決のための行動をあなたが起こさない限り信頼は得られないのです。
あなたが、経営者から問題や課題について相談を受けるということは、頼りにされているからです。
だから、あなたが一言、言ってくれれば、どれだけ経営者は勇気をもらえることか、
「社長、一緒に考えましょう」
では、問題解決のためにあなたが行動を起こそうとしたら、どんな手法を使うのがいいのか、
問題解決の手法はいろいろありますが、重要なのは、経営者と時間をかけて問題を掘り下げることです。
とにかく掘り下げることです。
そのためには、「フローチャート系統図による問題と原因の見える化」をお勧めします。
まず、今、起こっている問題点を詳細に列記し、その問題が起こる原因を具体的に記述します。
そして、その原因が起こる背景も具体的に整理し、その後始めて、何をすべきか、5W1H(何を、誰が、何故、 どこで、いつ、どのように)に行動計画を作ります。
「問題=即対策」にしないこと。
とにかく問題の原因追究に時間を掛けます。
トヨタ自動車では、「何故を5回繰り返す」と言われますが、それ位問題点を掘り下げないと、本当の改善策が見えてこないと言うことです。
もし、問題の原因は分かっているが、その対応策が本当に突破口なのか分からず、具体策が打てない場合は、
「仮説」を立てて「検証」すれば、その問題の解決策が、本当に妥当かどうかが見えてきます。
「仮説立案」のポイント
「効果性」・「実現可能性」・「経済性」の3点から「仮説」を考えること
・「効果性」とは、効果が出るまでの所要時間と効果の大きさ(定量化)で検討する。
・「実現可能性」とは、「人」・「物」・「金」の投入の現実性を考慮する。実力以上のできない仮説は実行できずに、 逆効果である。
・「経済性」は、その解決策を実施した場合のコストパフォーマンスを図る。
課題や問題は数値化して捉える。
数値分析とは、「この数値はどうしてこうなったのか?」という問題意識がなければならない。
そう、本当の問題は、結果、数値に表れます。
「どこがどのよう問題なのか」と聞かれて、「○○が、かなり問題です」と言うよりも、「○○が、△△%しかないから問題」と言われる方が、解決に向けて進みやすいと言えます。
抽象論でいくら議論しても実態が見えない。
数字とは、単なる売上、利益、自己資本比率などの財務指標だけではありません。
例えば、総労働時間に占める移動時間の割合などの、基本対策が見える指標も重要な要素と言えます。
顧問先で起こっている種々様々な問題を、経営者は解決しなければなりませんが、いろいろな要素が絡んで、『突破口』を見出せないことも多々あります。
あなたが「問題の整理手法」を活用し、経営者と一緒に問題整理の作業をし「目で見てわかる形」にしてあげれば、仮に問題解決は実現しなくても、「パートナー」として感謝され、信頼を得られることでしょう。