後継者塾で顧客価値を高める

      2017/01/16

後継者塾の開催で失うもの

多くの税理士事務所で後継者塾を実施していますが、実施した事務所の先生や職員に聞いても、後継者と交流ができた、経営や会計に対する意識も教えられた、理解してもらえよかったと後継者塾を実施したことに対する事務所側の満足度は高いようです。

 

しかし、その後、顧問料があがったのか、という質問に対しては殆どの事務所がNOと・・・

 

これっておかしくないですか?

まず、後継者育成ってそんな数回でできるものなのでしょうか?

後継者が経営者として立派に育つまで続けるものではないのでしょうか?

顧客満足が高ければ何年も継続して受講するのではないでしょうか?

 

1度限りの塾だと、後継者からみて事務所の評価を下げることになるのかもしれません。

 

後継者塾は継続顧問及び顧問料アップの柱

これからの事務所顧問料アップの柱の一つになってもおかしくない後継者塾について考えてみたいと思います。

 

まず後継者塾の目的とは何でしょうか?

  1. 後継者の経営・財務知識を高める
  2. 後継者として意識づくりを行う
  3. 後継者同士の交流を通じての人脈づくり

 

こんな感じでしょうか。

 

では、後継者塾を行う会計事務所側の目的はどうでしょう。

  1. 後継者との接点を持つ
  2. 後継者の育成に関与する

 

この 2 点に尽きます。

 

これらの目的の為に本来は『後継者塾』を開催している筈です。

 

しかし、現実の後継者塾の課題としては

  1. 夜2、3時間程度の研修が複数回である。終日又は半日、後継者が業務を休んでまで参加するという意識が薄い
  2. 決められたテキストで進行し、作業演習はあるがオリジナリティがない。
  3. 講義中心で教えている
  4. 各回のフォローができておらず、やりっぱなしの印象がある
  5. 後継者が研修で学んだ事のアウトプットがない(研修ごっこで終わる) ※ここでいうアウトプットは実際に顧問先の経営会議で使うもののこと
  6. せっかくの懇親会も職員は担当先にべっとり、いろいろな受講者と交流する姿勢がない

 

その結果どうか?

 

1回受講しただけで、2 年目が続かない場合が多いのです。

私も後継者塾の講師をしている中で感じたことは、後継者塾に参加している後継者の意識の問題もかなりあります。

ここに自ら参加した後継者が少ない、という問題点。

社長から言われて参加しているだけでしかなく、そのためアウトプットが軽い。

 

だから、後継者塾ですべきこと「後継者塾テキストの問題」はおいときますが、

「教える後継者塾」から「考えさせる後継者塾」へ転換が必要だということです。

 

誰かが作ったテキストに沿って行う塾を運営するのは事務所側にとって楽でしょうが、事務所側が楽している限り、往々にして相手に響かないものです。

そのため参加者もテキストを読めばわかるという意識で終わるのです。

 

考えさせる後継者塾とはどのようなものなのか。

決められたテキストによる講義一辺倒の塾ではなく、後継者に「あなたの会社の課題解決」に焦点を絞った課題と対策を「考えさせ」「アウトプット」させる。

アウトプットがあれば、研修に付加価値を感じ、意欲的になるのは言うまでもありません。

 

後継者塾で大事なのは何を教え学んだかではなく、何のアウトプットが残ったのか、なのです。

できれば終日ですが、1時間でも考える場を作ってあげるだけでも講義を受けるより数十倍の価値を感じてもらえます。

 

また、そのアウトプットの結果を巡回監査時にフォローすれば、経営者からの評価も高まり、受講者である後継者からもありがたがられます。

そう、このフォローこそ、経営者と後継者を交えた経営者面談となるのです。

 

 

では、どんなカリキュラムが【考えさせる後継者塾】になるでしょうか。 ひと言で言えば、「課題のあぶり出し」「課題解決策のねん出」をパターン化することです。

 

ここに実例を一部ご紹介します。

 

【中期経営計画作成】

単に後継者の思い描く中期経営計画書と作るのではなく、まず、直近の決算書の分析から、「正常状態になる為」に必要な今後の業績目標と行動目標を作成させる

 

【SWOTクロス分析】

自社の強みと弱みの理解と中期的に実現するための固有戦略の立案をし、行動計画を作成させる

 

【業務の効率化】

利益を出すための業務の棚卸(ムダ、2度手間、非効率業務の洗い出しと仕分けなど)による収益を下げず、業務コストを削減する仕組みづくり

 

【幹部社員の個人ごと職務責任一覧表作成】

各幹部にやってほしい職務と目標を明文化、ジュニアボード制の導入など

 

 

そして、必ず塾の中で実施すべきものとしては、

【後継者の職務と業務の明文化】

デイリー、ウイークリー、マンスリー、スポットの実務と管理、マネジメント業務を具体的にスケジュール化する。

これは経営者が非常に喜びます。
これらはすべてアウトプットがあり、時間中にできない場合は持ち帰って行い、その結果を職員が監査時にチェック&フォローするということです。

 

【考えさせる後継者塾】なら、1つのテーマが終われば次へと、何年でも何回でも飽きられることはありません。

 

後継者塾に1回限りの参加だけで終わらすのではなく、巡回監査時や継続して受講できるものにする。

これって一考の価値があると思いませんか。

 

 

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