顧問先の社長の話はトコトン聴け
社長の経営課題を整理できない職員は評価されない
あなたは決算書作成のための記帳代行者なのか、それとも社長の良きパートナーなのか・・・。
もちろん、社長の良きパートナーとなりたいのだと思います。
では、どうしたら良きパートナーとなれるのか?
やることは1つだけです。
顧問先の企業では様々な問題が起こります。
ただ、中小零細企業は経営資源が豊富ではない為、問題は分かっていても資源が少ないために着手ができなかったり、また、社長が営業に作業にと経営に集中できず、問題が発生しても手をつけられないこともしばしばです。
その結果、放置されている問題が悪化したり、手を打たなかったが故に機会損失を招くこともあります。
TKC会員事務所の職員なら毎月、顧問先を訪れ、社長と面談をしている筈。
そういう時に社長が抱えている課題や問題について、どこまで把握しているでしょうか?
まさか、前月の試算表の報告だけをして帰っているなんてことはあり得ませんよね。
それでは、顧問先社長のパートナーとして事務所の機能は発揮されているとは言いがたいです。
やることは1つ、「共通認識」を持つということです。
そう、あなたは顧問先の経営に関する課題・問題について社長と面談し共通認識を持たなければないのです。
課題・問題の見える化をする
では、どのようにして顧問先の課題や問題を把握するのか、それは、時系列に分けて3種類あります。
1つ目が「今、目の前にある放置が許されない課題・問題」
- 今期の業績に悪影響を及ぼす問題点
- クレーム、トラブル、事故の可能性のある問題点
- 社長からの指示事項または早期に改善したい課題 等々
2つ目は「今は問題が表面化していなくても、そのまま放置していては後々大事になる可能性を秘めたこと」
- 例えば、利益を度外視した受注は、当面の会社の売上や資金繰りには貢献できるが、利益がないので、その内、融資も受けられず資金が回らなくなり、破局を迎える「ゆで蛙現象」に該当する課題や問題
- 「社員の不平不満」「現場の疲弊」は労働問題も含め、中期的に業績に影響がでる課題や問題
- 「顧客ニーズの小さな変化」「業者の潜在的な不平」の放置は、中期的には業績悪化要因となる課題や問題 等々
3つ目は「将来環境が変われば、大きなリスクになること」
- 今の経営環境では問題なくやっているが、市場環境の変化、行政の方針転換、競合状況の変化で、今のビジネスモデルが通用しなくなった場合の対処。
- 少子高齢化、国際競争の激化、原料価格の大幅値上げ、円安、消費税率アップ、規制強化、規制緩和、カント リーリスク、世界不況、国家財政の圧迫による支出削減、需要減退等々の外部要因によるリスク 等々
多くの顧問先の社長は、先ほど挙げた1つ目に上げた課題・問題に終始することでしょう。
しかし、それでは、計画的な経営は出来ません。
だから、税理士事務所の職員が定期的にチェックして「中期的な課題、年内中に解決する課題」への気付きを与えなければならないのです。
そこで、
先ず、社長も頭がこんがらがって、どこからどう課題に着手すべきかが見えてないケースも多いです。
そう、『問題の見える化』をしてあげましょう。
その方法としては、社長から聞き取りをしながら「問題の見える化」を進める「ロジックツリー」と言う問題解決の手法が有効です。
あとは社長のケツを叩くだけ
ロジックツリーには、「Whyのロジックツリー」と「Howのロジックツリー」の2つがあります。
「Why のロジックツリー」とは、いわゆる「何故なぜ?」を繰り返し問題を掘り下げる方法です。
論理的に「何故なぜ?」をドンドン落とし込んでいくと原因が具体的になって行きます。
その具体的な原因と課題が見えれば、あとは着手方法も絞れてくる訳です。
中小零細企業の社長の悪い癖に「目の前の解決策を考える」と言う事があります。
それでは原因分析が不十分で、表面的な解決策ばかりを議論するため、同種の問題が再発しやすいです。
論理的に何故を徹底して掘り下げすれば、「過ちの原因」が見えてきて、その原因に相応しい解決策が立てられ効果も出やすくなります。
「Why ロジックツリー」ができたら、次に「How ロジックツリー」で、「どうしたらできる?」を掘り下げていきます。
「How ロジックツリー」は、多くの方も知っているように、ホワイトボードや紙に箇条書きしながら、ドンドン具体的に落としこんでいきます。
落とし込んだ具体策に優先順位をつければ、「課題と対策の優先順位」がある程度ハッキリしてくるのです。
キレイなロジックツリーにならなくても結構なので、社長と一緒にこの作業をすることで「こいつは俺の会社のことを本気で考えてくれているな」と思われ、あなたのために行動をしてくれることでしょう。
そして、社長の課題解決のための支援をすることにより、その信頼度は計り知れなく「なくてはならない存在」となることでしょう。